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受動態とは?
受動態とは、能動態と違って動作をするものが主語になるのではなく、動作を受けるものが主語になる表現法である。
つまり、「XはYを〇〇する」のではなく、「YがXによって〇〇される」といったように、動詞の行為を受ける人やものが主語になる。
能動態vs受動態
「XはYを〇〇する」という構成の能動態では、主語が動詞の動作をする。そのため、書き方としてはより率直で強めのニュアンスになる。
受動態では反対に、「YがXによって〇〇される」といったように、主語が動詞の動作を「される」ことになる。

受動態で文章を書く

時制が時間についての情報を付け加えるのに比べて、能動態は、センテンスの「主語」が動詞の動作を「する」のか、それとも、「され」るのかを説明するものだ。
能動態を作るための公式は、主語+動詞(主語がする動作)+目的語(必要に応じて)である。
Kenta kicked the ball.
受動態では、主語が動詞の動作をされる。この例では、ボールが主語になる。
受動態を作るための公式は以下の通り。
主語+be動詞+過去分詞の動詞(主語がされる動作)+前置詞的な目的語(必要に応じて)
The ball was kicked by Kenta.
最後の箇所「by Kenta」は前置詞的なフレーズで、「誰が動作をとったのか」の情報を付け加える。
しかし、この動詞の行動をとったものを、下記のように完全に排除しても同じ意味になる。
The ball was kicked.


受動態を使うべきシチュエーション

職業的や法的な公式な場面の文章には、受動態の方がふさわしい場合もある。
犯罪や事故などで、動作を行なった人が不明な時
My car was stolen yesterday.
誰が車を盗んだのかわかっていれば、名前を言うこともできるが、そうもいかない。受動態では、「盗まれたもの」だけを強調できるのだ。
科学的な文脈
The rat was placed into a T-shaped maze.
ネズミを迷路に入れるのは科学者だろうけど、そんなことは当たり前で、重要なのは「実験そのもの」だ。よって、受動態が使われる。
動作を行なった人があまり重要でない場合
The president was sworn in on a cold January morning.
大統領の就任宣誓の挙式者が誰かなんて、覚えている人はあまりいないだろう。明らかに重要なのは大統領自身である。
なので、動詞の動作を「やらされている人」が一番大事で、その動作をする人は前置詞的に付け加えられるか、それともセンテンスから完全に消されてしまう。


受動態を使って強調される点を変える

責任転嫁したい、又は、誰の責任であるかを明らかにしたくない時
“Mistakes were made.” —most politicians
間違いを犯したのは誰?責任を負う人はいるのか?解決するのは?といった疑問に答えずに済む。
婉曲的に表現したい場合
ジェーン・オースティンは、キャラクターを婉曲的もしくは曖昧に表現することで礼儀正しい印象を与えるため、よく受動態を使った。
“[He] pressed them so cordially to dine at Barton Park every day till they were better settled at home that, though his entreaties were carried to a point of perseverance beyond civility, they could not give offense.” —Jane Austen, Sense and Sensibility

“Though Mr. Middleton carried his entreaties to a point of perseverance beyond civility, they could not give offense.”
焦点を変えたい場合
動作をする人よりも、されている人の方がはるかに重要な時は受動態が望ましい。
“That treasure lying in its bed of coral, and the corpse of the commander floating sideways on the bridge, were evoked by historians as an emblem of the city drowned in memories.” —Gabriel García Márquez, Love in the Time of Cholera
代わりに“Historians evoked that treasure (and so on).”と書くこともできるが、それでは宝物の存在を強調できない。歴史学者はここではあまり重要でないため、作者が受動態を使ってより大事な情報を強調しているのだ。
もう一つ、有名な例として、独立宣言を見てみよう。
“We hold these truths to be self-evident, that all men are created equal, that they are endowed by their Creator with certain unalienable Rights, that among these are Life, Liberty and the pursuit of Happiness.” —The Declaration of Independence, 1776
主語である「全ての人間」の箇所が先に書かれ、平等さと人権が焦点になっている。
受動態を使ってみよう!

受動態が使われるのは、本や法的な書類の中だけではない。日常的に受動態が大事になってくることだってある。
下記の場合は、受動態が最も自然で明瞭だ。能動態にすると、不自然で読みにくい。
例1
受動態::Bob Dylan was injured in a motorcycle accident.
能動態:A motorcycle accident injured Bob Dylan.
例2
受動態:Elvis is rumored to be alive.
能動態:People rumor Elvis to be alive.
例3
受動態::Don’t be fooled!
能動態:Don’t allow anything to fool you!
受動態の見分け方
いつ受動態を使うべきなのか、判断しにくい場合も多い。まして、どれが受動態なのか見分けるのも大変難しい。
Chester’s favorite activity is kicking.
The bank robbery took place just before closing time.
There is nothing we can do about it.
There were a great number of dead leaves covering the ground.
上記の例は、何一つとして受動態ではない。Be動詞が使われているからといって、受動態であると決めつけてはならない。受動態に必要不可欠な要素は、過去分詞なのだ。
まとめ
能動態に比べて率直に伝わらない書き方のため、英語話者の中には、文章は主に能動態で書かれるべきで、受動態はできるだけ避けるべきだと主張する人もいる。
しかし、受動態は決して間違いではない。便利に使える場合もあり、使うか使わないかは目的と好みによる。受動態を使うか、能動態を使うか迷った時は、どちらがより明瞭で自然に聞こえるかを前提に考えよう。また、受動態にはbe動詞と過去分詞が必要になることを覚えておこう。
特に、科学的や法的など公式な文章の場合、動詞の動作をしている人やものが不明な場合、そして、動作を行う人の情報がないほうがかえって文章がわかりやすくなりうるときなど、動詞の動作をされているものに焦点を当てたい時には、受動態を使おう。


終わりに
