theyが単数形で使われるとき

singular-they

にゃんこ先生
昨今の社会は、より多様化している。ジェンダーや性アイデンティティについての認識度も高まっている。それに比例して、我々の使用する言葉にもジェンダーの多様性が反映され始めているんだ。

にゃんこ先生
ということで、今回のテーマは、単数形のthey。

にゃんこ先生
ん?って思った?そう、theyが単数で使われることがあるんだよ。

性的区別のない代名詞「they」

自分が女性だというアイデンティティの人物が「she」を彼女を指す代名詞として使用されるのを好み、男性と自己認識する人物が「he」を好むように、自分のジェンダーのアイデンティティが男性/女性という従来の2つのくくりにとらわれない人物が、性的区別のない代名詞のひとつとして「they」を使用するようになった。

単数形のtheyは、2016年の一番重要な単語として選ばれた。同時に、様々な辞書に”性的区別のない代名詞”として含まれるようにもなった。

Ms.やMr.の代わりの性的区別のない敬称として、Mx.もMerriam-Webster辞書に掲載された。つまり、自らを男性でも女性でもないと認識するノンバイナリーな人物は、敬称としてMx.を好むということだ。

 

にゃんこ先生
そういった性的区別のない代名詞や敬称が、ノンバイナリーである人、そうでない人ともに重要になってくる、その理由を見てみよう。

 

ジェンダーについての基本用語

まず、ジェンダーや性的マイノリティについての単語を学ぼう。

ジェンダー:伝統的に、男性か女性に分けられた、文化的アイデンティティ、表現や役割のことで、個人の身体的特徴、主に性器・生殖器官の解釈によってあてがわれる。ジェンダーは社会的な概念であるので、個人によってはあてがわれた性別を拒否し、自分のアイデンティティによりふさわしいように修正したりもできる。

ジェンダーバイナリー:ジェンダーは男性か女性かのどちらしか存在せず、そのほかのジェンダーは存在不可能だと認識する社会的に構築されたシステム。ジェンダーバイナリーは、実際のジェンダーアイデンティティの多様性やジェンダーの表現を顧みず、社会的に受容されているような既存のジェンダー概念に当てはまらない人物を全て拒否し、そのアイデンティティを侵害するものの。

ノンバイナリー:男性・女性のどちらのアイデンティティにも当てはまらない人物を表す形容詞。

 

にゃんこ先生
以上の3つは、ジェンダーの多様化における基本的な用語である。もしジェンダーやセクシュアリティについてより深く理解したい場合は、GLSENのサイトを参考にしよう。

 

英語は進化している!

普段生活している分には実感が沸かないかもしれないが、言語は常に変化している。今我々が話している言葉が江戸時代や明治時代の言葉とは違ったものであるのは明らかだが、実は、祖父母や両親の使う言葉からも微妙な違いがあるのが、当たり前なのだ。

英語も言語であるので、当然、日々変化している。

しかし、単数形のtheyは、実はそこまで新しい現象ではない。Merriam-Webster辞書によれば、シェイクスピアまで遡られ、ジェーン・オースティンやW.H.オーデンなどの作品にも見られるような、古くから存在した代名詞である。だが、多様なジェンダーに対して寛容な言語と社会を作るため、この言葉の重要性が最近増している。

 

LGBTQの学生に対するいじめ問題

2015年のGLSENの調査によれば、レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダーなどの学生の3分の2が、学校で性的少数者に対する差別を示唆する言葉をよく耳にするという結果が出た。

トランスジェンダーの学生をターゲットにしたいじめ文句やハラスメントの確率が特に高い。

トランスジェンダー(身体の性と心の性が一致しない人)、ジェンダークイア(既存の性別の枠組みに当てはまらない人)、ジェンダーフルイド(性別のアイデンティティが流動的な人)、そしてほかのノンバイナリーのアイデンティティを持つ学生にとっては、こういったいじめや差別が、成績低下、欠席過多や、場合によっては自殺にまで発展してしまうこともある。

 

パーソナル・ジェンダー代名詞

言語は社会的な影響力を持ち、従来の文化によるジェンダー分類にそぐわない人の人生を左右する場合もあり、そんな人々にとっては特に重要な問題だ。よって、特定の個人やグループが選ぶ代名詞を尊重することが大切になってくる。

そういったパーソナルなジェンダー代名詞とは、どのようなものだろう? GLSENは、personal gender pronouns(略してPGP)を以下のように定義している。

特定の人物が、自身の固有名詞が使用されない場合に使われるのを好む代名詞。

 

男性や女性のどちらかのアイデンティティを持つ人は、一般的にheかsheを選ぶが、トランスジェンダー、ノンバイナリーなどの人は他の様々な代名詞を使用する場合がある。性的区別のないtheyの単数形を使うこともできるが、下記の選択肢もある。

(f)ae(f)aer(f)aer(f)aers(f)aerself
e/eyemeireirseirself
perperperspersperself
vevervisvisverself
xexemxyrxyrsxemself
ze/ziehirhirhirshirself

ここでは全ての代名詞の説明ができないが、様々な種類の代名詞があることが一目瞭然だろう。それでは、どれを使えばいいのか?それは、本人に訊いてみるのが一番いい。“What pronouns do you use?”(どの代名詞を使用しているのですか?)や、“Is this pronoun right for you?”(この代名詞で合っていますか?)と話し相手に訊いてみるのは簡単だ。特に、知り合ってすぐに訊いておけば、ほとんどの人が快く教えてくれるだろう。

 

にゃんこ先生
単数形のtheyは、広範囲のジェンダースペクトルで使用される。例えば、“They are a talented artist. I really enjoyed their painting of a flower in art class yesterday.”といったように使用すればいいんだ。

 

theyはジェンダー少数派のみならず、みんなにとって便利

Merriam-Websterのtheyの用途の注意書きによれば、英語には、性的区別のない三人称単数の代名詞が欠如している。英語には、たくさんの利点があると同時に、不確定の代名詞が定まっていないという欠点もある。下記の例のように人物の性別が定かでないときには伝統的にheが代名詞として使用されてきた。

“Suppose the life and fortune of every one of us would depend on his winning or losing a game of chess.”—Thomas Huxley

しかし、性別が不明な人物のことを男性の代名詞で一括りにしてしまうことは、性差別につながるし、まず不正確だ。よって、性別が不明な人物のことを書くときに単数のtheyを使用することを奨励する旨の注意書きが、Merriam-Webster、Oxford English DictionaryやAmerican Heritage Dictionaryなどの辞書に最近付け加えられた。

 

もちろんこういった流れは最近のことなので、単数形のtheyをフォーマルな文脈で使用することはまだ完全に受け入れられていない。なので、特に伝統的な先生や教授に課題を提出する際には気をつけたほうがいい。

しかし、下記の例のような用途で英語の効率が上がるのも事実だ。

If Sally or George got a cold, I would have sympathy for them.

もし単数形のtheyを使わなければ、「If Sally or George got a cold, I would have sympathy for him.」という風に不適切になったり、または「If Sally or George got a cold, I would have sympathy for him or her.」のように長ったらしく読みづらい文章になったりしてしまう。

さらに、サリーやジョージが男性や女性以外のアイデンティティを持つ場合にはどちらの文章も不正確なものになってしまう。結局、性別や代名詞は名前を基に決定されているわけではないからだ。

幸運なことに、単数形のtheyを使うことで英語がより効率的になり、不自然な文章を書かずに済む。さらに、知らない人物の性別を決めつけて間違った認識を植えつけてしまうことを防ぐこともできる。

 

まとめ

theyを代名詞として好む人々は、長い間いじめや差別のターゲットになってきた。

もちろん、性的区別のない単数形のtheyを受容するべきだと、全ての英語話者が同意したというわけではないが、より寛容な社会を築きあげていくための初めの一歩として、使用する言葉についてじっくり考えてみてはどうだろうか。

様々な代名詞について知り、ジェンダーの多様性を理解し、色々なジェンダー表現とセクシュアリティを支持しよう。

にゃんこ先生
性的区別のない単数形のtheyについて、君はどう思っただろうか?文法は、時代の流れに合わせてどんどん進化しているんだね。

 

終わりに

にゃんこ先生
この記事は、ライティング添削ツールGrammarlyのブログをアレンジして作成したもの。こういう文法の間違いはすべて自動で指摘してくれる。ライティングのクオリティを改善したい人は、導入してみよう。

 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です